Donnerstag, Juni 07, 2012

杨志卖刀 やんじーまいだぉ

杨志卖刀 やんじーまいだぉ 青面兽扬志 ちんみぇんしょうやんじー 

楊志売刀0)水滸伝で一番ツイてない、要領の悪い人、青面獣楊志(せいめんじゅうようし)。名前もカッコいいし武勇も抜群。だけど運が悪くてろくな目に遭わないこの男が、都でついに殺人を犯す「杨志卖刀 やんじーまいだぉ」の挿話が面白いのでツイートします。

 楊志売刀1)不幸な偶然による任務の失敗とそれに続く逃亡から、恩赦が出たのに乗じて都に戻り復職のために全財産を使い果たした楊志。ようやく殿帥府大尉高俅との面会にこぎつけるが、復職不可とにべもない一言。

 楊志売刀2)誇り高い武門の生まれにも関わらず、成り上がり者の高俅の一存によって復職の望みは水泡に帰した。一文無しになった楊志は仕方なく路上で家宝の名刀を売りに出す。

 楊志売刀3)「売刀(まいだぉ)!売刀〜楊家秘伝の名刀がたったの三千貫文だ、買った買った」買う者はいない。途方に暮れる楊志の耳に入ったのは「虎が来た!虎が来た!」の声 

楊志売刀4)「花の都に虎が出るとは面妖な…」いぶかる楊志の前からは人が消え、やってきたのは都でも札付きのワル、あだ名を毛無し虎の牛二というゴロツキである。「宝刀が三千貫だと?吹っかけやがって!」さっそく言いがかりをつけてきた。 

楊志売刀5)牛二「俺が三十文で買った包丁は豆腐も肉もよぉく切れるぞ。この刀と何が違うんだ?」楊志「我が宝刀は三つの点で他の刀に立ち勝る」「なにが優れてるだと?言ってみろや」「一つ、銅も鉄も切って刃こぼれなし」 

楊志売刀6)これを聞いた牛二、銅銭を二十枚ほども重ねてさあ切ってみろと楊志に迫る。楊志は静かに刀を振り上げるとやおら振り下ろす。銅銭二十枚は一枚残らず真っ二つ。言葉にたがわず一片の刃こぼれもない。 

楊志売刀7)牛二「調子に乗るんじゃねぇ!二つめはなんだ!?」楊志「二つ、刃に毛を吹きつければ動かずして切れる」やはり言葉どおり、吹きつけた髪の毛はみな二つになって刃の両側へはらりと散った。 

楊志売刀8)牛二「もったいをつけてねぇで、三つめはなんだ?」楊志「ここで試す訳にはいかぬ」牛二「すげぇ所が三つもあるってのは嘘だな!?でけぇ事を言いやがって!」楊志「では言おう…人を切って刃に血を止めぬ」

 楊志売刀9)牛二「それじゃあ人を切って見せろ!」楊志「ここは天子様のお膝元。都で殺人など畏れ多い。犬でも豚でも連れてくるがいい」「おめぇは人を切ると言ったんだぞ!駄法螺を吹きくさって!この刀はもらう」「三千貫だ」「銭はねぇ。刀はもらう」 

楊志売刀10)楊志「刀はやらん。うせろゴロツキめ」牛二「あぁん?じゃあ俺を切ってみろ俺を!できねぇってのかぁ?」「失せろ。お互い何の恨みもないはずだ」「おれはこの刀が欲しくなったんだよ!さあよこせ」「断る」 

楊志売刀11)牛二「その宝刀で俺を斬ることもできんのか、大した腰抜けよ!さぁさぁ!斬ってみせろ」言葉が終わるか終わらないかの瞬間、牛二の首は切られた。刃の上には一滴の血もなく冴え渡っている。 

楊志売刀12)「皆の衆、ご覧のとおり私はこのゴロツキに絡まれてこれをやむなく殺め申した。この楊志逃げも隠れもしませぬ。御見物の衆には役所で証人になって頂きたい」そう言って楊志は出頭し、本来死刑のところ観衆の嘆願により北京大名府へ流刑となった。(了)

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