Montag, Juni 11, 2012
鲁提辖拳打镇关西
魯達打鄭1)渭州経略府の提辖官、魯達は今日、九紋龍史進や打虎将李忠ら高名な武芸者と知り合って機嫌が良かった。昼から酒場に繰り出す三人。しかし座が盛り上がってきたところで隣室から女のすすり泣く声。「おい、主人!酒がまずくなる!」
魯達打鄭2)店主が出てきて謝った。「提辖さん、隣の泣き声は金翠蓮という可哀想な娘でして、借金があるのでうちの店でお客様に小唄を聴かせて日銭を稼いでいるのですが今日もさっぱり実入りがなくて父親と泣いているんで」これを聴いて魯達「それは哀れな。ではここへ呼べ」
魯達打鄭3)胡弓を携えた老父と、いかにも儚げな娘が出てきて魯達に無粋を詫びる。魯達が「なんだってそんな借金をこさえたんだ?」と尋ねる。金親子は都での商売に失敗してこの渭州に流れてきて、鎮関西なる肉屋の富豪に拾われたのだという。
魯達打鄭4)金老人「鎮旦那に半ば脅されて娘を身売りさせ、代わりに借金を返してもらうはずがなしのつぶて。あべこべに鎮の奥方からは手切れ金を出せとまで言われる始末で。困り果てて親子でこのような所で小銭を稼いでいる始末でございます」
魯達打鄭5)これを聞いた魯達は憤慨する。「肉屋の鎮関西だと?誰かと思えば経略府相公の使い走りをやっていた豚殺しの鄭屠のことか。あやつめ、小金を掴んで店を持ったぐらいで鎮関西とは図に乗りやがって。弱い者いじめにも程があるわい。拙者が話をつけてやる」
魯達打鄭6)魯達は居合わせた史進と李忠に頼んで金翠蓮とその老父に路銀を持たせ、二人を街道まで送り届けるように言う。魯達は自ら鎮関西の肉屋へ「話をつけに」向かう。店に着くとさっそく鄭屠が迎える。「これはこれは提辖さん、お久しぶりでございます」
魯達打鄭7)魯達は言う「おぅ鄭屠、今日は相公さまのご用でな、豚のいいのを10斤、脂身はちょっとでも入らんよう細切れで頼むぞ」「へいへい、さっそく」「あー、お前が自分で切ってくれ。小僧どもがやるんじゃ汚くてかなわん」「へい、それじゃあっしが」
魯達打鄭8)鄭屠は内心(豚殺し呼ばわりしやがって)と腹わた煮えくり返る思いだが提辖の魯達には頭が上がらない。「こちら、豚のとびきり新鮮なところを10斤でございます」しかしこの注文は金親子が安全に逃げるための時間稼ぎにすぎない。
魯達打鄭9)まだ十分に時間を稼いでいないと判断した魯達。「では次に脂身を10斤、赤身がこれっぽっちも混じらんよう、これも賽の目でたのむ」「脂身なんぞ何になさるんで…?」「相公のご注文だぞ!拙者が知るもんか!つべこべ言わずにさっさと切らんか」「へい…へい」
魯達打鄭10)脂身10斤を鄭屠が細切れにし終わったころには既に日は高く、金親子も街道まで逃げ切った頃合いである。鄭屠「こちらが脂身の賽の目で…」魯達「じゃあ次は軟骨を10斤賽の目で頼む」これには鄭屠もようやく普通の注文でないことに気づく。
魯達打鄭11)鄭屠「提辖さんは、あっしをなぶっていらっしゃるんで…?」十分時間を稼いだと判断して魯達は答える。「左様、拙者はてめぇをなぶってるんだよ!」そう言ってやおら、渡された精肉と脂身の包みを投げつけるとあたりはバラバラと時ならぬ肉の雨。
魯達打鄭12)鄭屠は包丁を持って躍りかかる。「貴様!豚殺し豚殺しとバカにしくさって!」うなる包丁も、魯達がヒョイと身をかわせば近くの肉切り台に刺さってもう抜けない。大兵肥満とはいえ鄭屠が拳を握っても魯達の相手にはならぬ。魯達は拳を振り上げて言う。
魯達打鄭13)「こいつめ!よくも偉そうに鎮関西などと名乗りおって!なぜ金親子をいじめた?!拙者が懲らしめてやるから覚悟せい!」胸を突かれた鄭屠が吹き飛んで調味台にぶつかると、辛いの酸っぱいの塩っぱいのみな混ざってまるで味噌屋の店先。
魯達打鄭14)調味料でべとべとになった鄭屠がそれでも「よくも殴ったな!」と叫ぶと「素直に謝るならともかく、まだ口答えする気か!ならばもっと拳骨を喰わせてやるわい!」鼻っ柱に二発めを受けた鄭屠の鼻は曲がり歯も十本は抜けてしまった。
魯達打鄭15)鄭屠は既に虫の息。「命だけはお助けを!金親子には詫びを入れて二度と手は出しません!」しかし魯達は許さない。「てめぇ、根性を出して最後まで手向かいするならともかく、拙者は謝られると余計に腹が立つんだ!もう一発喰らえ!」鄭屠は穴という穴から血を流し、息をしなくなった。
魯達打鄭16)魯達は内心(しまった!こいつ、たったの拳固三発で死ぬとは…)と思いつつ鄭屠の死体を指差して「こいつめ!死んだふりなぞしやがって。また改めて話はつけにくるからな!」と言うと大股で家に走り、金目の物をまとめると一路西へと逃げ去った(了)
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