Sonntag, April 01, 2012
鷹狩りの情景を詠んだ2首の歌
鷹狩りの情景を詠んだ2首の歌「霰降る交野の御野のかりごろも濡れぬ宿貸す人しなければ(藤原長能)」と「濡れ濡れもなほ狩り行かむはし鷹の上毛の雪をうち払ひつつ(源道済)」、どちらも評判高く作者二人もどちらがいいかで争う。今日こそ決着をつけようと二人で当代一の評者、藤原公任のもとへ。
「二つの歌の優劣で争って決着がつきません。なんとしても決めてほしいと今日は二人で来ました」二つの歌をしばらく声に出して吟じてみてから「ほんとの事言っても、怒んない?」と確認する公任。「怒りませんよ。そのために来たんですから。結果を聞いたらさっさと帰ります」と二人。じゃあ言うけど、と公任。
公任「あのね、『霰降る交野の御野のかりごろも濡れぬ宿貸す人しなければ』の歌は表現もうまいし字面も綺麗で、すごくイイ感じなんですよ。でもね、重大な欠点があるの。鷹狩りは雨が降ったぐらいじゃ止めません。ましてや霰くらいじゃ狩り用の服は大して濡れないし、雨宿りするのおかしいでしょ?」
公任「でね、こっちの『濡れ濡れもなほ狩り行かむはし鷹の上毛の雪をうち払ひつつ』は雪でも狩りを続ける情景で、こっちのほうが本物の鷹狩りらしくて雰囲気もイイ感じ。格調高くて雅な趣きがあるから、作品集とかに入るのはこっちだね」勝ったほうの作者は踊りながら去っていった。(『俊頼髄脳』)
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