Montag, Mai 22, 2006

AeP S11-18

Jochen Vogt "Aspekte erzählender Prosa. Eine Einführung in Erzähltechnik und Romantheorie"(1984)

Übertreibung:誇張

g e l t e n
indem
zu erkennen geben
auf etwas Anspruch erheben

要旨:
事実の報告と架空の物語

(ムジルの「特性のない男」冒頭部)
かなり即物的な気象の描写で具体的なので、知らないで読んだら事実の報告と見まがうかもしれないが、これが特性のない男の冒頭部だと知っていればここに史実を期待することはない。このような記述を事実の報告と同じ基準で計ることはなく、事実に対してムージルの言葉を借りれば「可能的記憶」「もうひとつの状況」、「架空の」「叙事的報告」またはもっと簡単に「物語」として評価する。

Wolfgang Kayser "Das sprachliche Kunstwerk. Eine einführung in die Literaturwissenschaft"(1963)によると「源物語状況」は「物語の話者が聴衆に何か起こった出来事を話す」ことだという。これはしかし物語話者の状況ではなく報告者の状況である。このような事実報告者の基準は二つある。
1)報告される出来事は報告者の経験の領域にある
2)報告される出来事は報告されるされないにかかわらず実際に起こった\存在した。

それに対して叙事的物語の基準は
1)物語られる出来事は物語話者に現実に経験されたものではないが実際に存在する
2)物語られた限りでのみ:作り出された世界で、「ほんのひととき我々にとって現実の世界と」思われる(フォンターネ)

しばしばその文脈によって初めてどちらか分かることがある。書かれていることが事実かどうかはムージルの個人的文体でありそれほど論ずるにあたらない。むしろもっと重要なのは正確に名指された時と物語られた事柄の結びつきである。手紙や自伝、そして歴史研究は、事実適合的な(従って原則的に検証可能な)記述として把握される。対して長編小説では正確な日付が挙げられていてもそれが事実かどうかは問題とならない。

Was uns auf den ersten Blick als "Bericht" erscheinen mag, erhebt - indem es sich als Fiktion zu erkennen gibt - keine Anspruch auf Übereinstimmung mit der (historischen) Realität, selbst dann nicht, wenn diese Fiktion die Elemente, aus denen sie sich aufbaut (Inhalte, Gegenstände, Figuren, Zeit- und Ortsangaben) aus jener Realität `entlehnt`.
私たちにとって最初報告と思われるかもしれないものでも、自らを架空の存在と悟らせることによって、(歴史的)事実への一致を要求されなくなる。この架空物語が自らを構成する要素(内容、テーマ、人物、時間・場所の記述)を現実から「借用」していたとしてもである。

Käte Hamburger "die Logik der Dichtung"では「読んでいるのが長編小説なのか旅行案内なのか知っているので、特に意識することなく作者と描写の関係を無視している。--作者の経験ではなく登場人物の経験が期待される。」とある。

et4 auf et4 beziehen
auffassen:理解する

心内文や内的体験も見通す全能話者・体験話法は当然ながら架空物語の印である。

歴史的/叙事的過去形
Käte Hamburgerは動詞の時制の特別な性質に注意を喚起する。架空物語において読者は過去に起こった出来事を現在形で体験することができるし、未来形すら期待できる。このような叙事的過去形は歴史記述またはその他の現実報告で扱われることはできない。今・昨日・今日・明日などの時間説明的副詞も叙事的過去形と共にしか使えない。文脈上はまだ疑いを締め出せなくともこのような文法的現象の観察を通じて散文テクストの歴史報告的/架空物語的性質が分かる。

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